起業家 一般社団法人 Tangonian 代表 長瀬啓二さん

京丹後市網野町出身です。私は京都市内の大学を卒業後、中学校の英語教員を経てから、福祉団体、鉄道会社、DMOなどの企業や団体を転々とし、現在、海の京都エリア中心に外国人旅行者の旅をサポートする「Tangonian」という一般社団法人を創業し、代表理事を務めています。

起業する前 の20代はどのように過ごしていたんですか?

今思えば、20代の頃は常に社会の在り方に疑問を感じて色々な方に意見をぶつけては自問自答を繰り返すという、社会への葛藤が強い時期だったと思います。
ただ、そういった葛藤は仕事の後のアフター5で上手くコントロールできていたと思います。
プライベートな活動としては、『mix ひとびとtango』通称「ミクタン」という活動を通じて、自分が興味あるイベントを地元で企画・実行していく事、他の人がやりたいという企画をサポートすることで、それまで関りがなかった人達と繋がりができていきました。
ミクタンでは、朝イチの漁港で鮮魚を仕入れて寿司イベントや、地元の企業とコラボして重機の運転を体験できるイベント、特殊メイクをしたダンスイベントやお化け屋敷イベント、子育てを終えた方々の絵本を寄贈していただき、廃校になった小学校で絵本の展示イベントなどを開催しました。
それらの取組は、仕事でのやりがいや面白みがなかなか見いだせない中、遊びの延長としてやっていました。でも、遊びの延長が人の役に立っている、人を楽しませているということが面白くなってきましたし、取組を通じて遊び方を教えてもらったと感じています。

遊びがどうやって仕事につながっていったんですか?

『遊び』というのは私の人生の中で大きなキーワードとなっていると思います。次第に遊びで知り合った人たちとも仕事をするようになっていきました。都会にいればビジネス的な関係からしか始まらないけれど、遊びで分かり合っているからお互いに本音で話しができたり多少の無理も言えるので、コミュニケーションコストがすごく下がると感じています。
私自身は元々自分が強力に動いて誰かを引っ張るタイプではないと思っていたのですが、先にお話した『mix ひとびとtango』の取組を通じて「やればできるじゃん」という感覚が培われていった気がします。そのうち、「遊びでここまでできるなら、仕事でもある程度できるのではないか」と感じるようになりました。そういった意味でも『遊び』は私にとって試行錯誤がチャレンジできる重要なキーワードだと思います。
これまで色々やってきた中、自分にとって最も大きかった経験を挙げろと言われると遊びとして始めた「mix ひとびとtango」で、自分のやりたい事を発言して、それがイベントとしてリアルになっていったことが大きかったと思います。
京丹後地方でこういう遊びが実現していくのにも文化的な素地ができているからだと思います。ちょっと家に寄って、縁側に座って話をするという習慣や、まぁ、面白そうならやってみればいいんじゃないの、という昔ながらの感覚があると思います。最近ではアーティストやIターンの30代の方々が京丹後市に住むようになり更に面白くなっているし、町の寛容度が上がっている気がします。

 

これから先の未来に目指すものは?

これからも仕事や暮らしの中で『自分にとっても良いし、周りにとっても良い』ということを自分なりに考えて、やり続けることだと思います。この町に死ぬまで住み続けるかはまだわからないけど、今のところ京丹後は自分にとって暫定1位だし、この先も高確率でそうだと思います。大切なことは、『この町に住み続けないといけないという義務感よりも、この町で自分にできることはまだあるんじゃないか?』と自問自答しながら、『自分にとっても良いし、周りにとっても良い』という仕事や暮らしができれば、きっと自分も町もいい方向に向かっていけると思います。
今、私は起業して『一般社団法人Tangonian』 を立上げ、事業としては外国人旅行者のガイドや旅のサポートをしています。仕事をしていくうえで、『地域にお金が落ちる仕組みを創ること』や『新たな雇用を生み出すこと』はとても大切です。一方で、価値観や文化が違う外の世界の方と地域の方とが出会うことで、私たちの暮らし方や働き方をもう一度問い直し、町全体をより良くアップデートしていける可能性を感じています。
私たちは比較的チャレンジしやすい恵まれた時代に生まれていると思います。そんな中、特に大切なことは、これから先、次の世代にどう良い環境をつなぐか・渡すかが大切です。それができなければ、20年後にはチャレンジすらできない世の中になっているかもしれないし、子ども達にそんな時代を渡してしまうと、自分達はただ『消費しただけの世代』になってしまうかもしれない。何を得るか以上に、何を残すかを考えることがとても大切で、同世代の仲間からも次の世代のことを真剣に考えて行動する姿勢や気持ちを強く感じています。

 

 

10年後、20年後に、自分自身が何を残せるかは分からないですが、チャレンジができること、行動が起こせることはまだまだあると思います。そして、この町ではそれができる余白がたくさんあるので、まずは「やってみればいいじゃん」という感じで、一人一人が自分なりの小さなチャレンジや変化を起こしていけばいいと思います。

 

 

TANGONIANホームページはこちら http://tangonian.com/